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[ひらめき]最終更新日:12/10/2011

mariage avec vin d'Alsace etc.. [alsace 地方]

アルザスからこんにちは。

たまにはワインとかの覚書と食いしん坊なネタで・・・・。


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(注)次回の更新は未定なので無理やり2本分まとめたのでちょー長編です。
   お時間のあるときにどうぞ。

アルザスの生産者のタイプは多彩で、良い意味でも悪い意味でも、

クラシックなアルザスワインを造る生産者と、
最先端のアルザスの可能性を追い求める者と、
その中間で自分の求めるアルザスワインを造る生産者

とおおまかに分かれているように感じます。

その中でも、私が感じるのはアルザスの北と南で方向性が明らかに違うワインが発達し始めているという事です。
私が個人的に興味を惹かれるのは北のアルザス。
(続いて発展急上昇のジュラ・サヴォワという産地も今後、いろんな意味で要チェックかも知れませんよ。)

 

これはあくまでも個人の好みですが、
それにしてもこれほど何ものにも束縛も呪縛もされない心意気のワイン群はそうめぐり合うものではありません。
いま最も進化のスピードが激しいのはこの地方のこの地域かも知れないと感じる事が多く
複雑な歴史的背景を考慮すると、それも頷けます。
フランスのワイン生産地として正式に認められたのは比較的最近の話なのです。
(この地方は過去に3回国境が変わり、もうドイツでもフランスでもない独特の文化を育んでいるのです)

 

 

と云うことで前置きが長くなりましたが
今日のもう一つの目的はコレ

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季節は何時だったか思い出せ無い位前に終わりましたが、
随分前のコメント欄からのご質問で今日はマリアージュのお話にします。

白アスパラにはリースリングが定番説があるそうですが
果たしてアルザスではどうなんでしょう。
(アルザスのリースリングとドイツのリースリングはもちろん、
ニュージーランドを筆頭に注目すべき新大陸の素敵なリースリングも含めて、全ての異なる産地のリースリングはそれぞれ個性がはっきりと違います。)

 

実は、アスパラが緑であろうが白であろうが、ソバージュ(野生: 筑紫の長いものみたいなヤツ)であろうが
基本的にはそのソースでワインの相性は色々変化をつけることができます。

 

せっかくなので色んな産地で聞き込みしてみました。
(ま、結局オラガ産地自慢で永遠に話が終わらないという食卓のお食べ地獄の堂々巡りで
また体重が右肩上がりになったという笑えない結果でしたけど楽しかったです。)

緑のアスパラはボルドーの白とかロワールのシノンとか、
はたまた風味のあるワインがいいという事でアルザスのミュスカがいいとか言っています。
そしてホワイトアスパラのオランディーヌソース(バターソース)は軽い赤か、辛口のロゼが良い・・とか。

これらはわりと古典的な婚姻関係ですからちょっと重めの雰囲気ですが、ソースを想像するとこんな組み合わせになるのでしょう。

では今のフランスガストロノミック事情ではどうなのでしょう。
(そんなに変わったとは思えませんが・・・これはお腹がイッパイの時に書きまとめるのは辛いので今日は割愛)

 

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アルザスのリースリング(に限らず全ての種類)は最近、造り手によってかなり凝縮感がありワイン自体の完成度が高く、非常にバランスのよいワインが目白押しで出てきているので

アスパラにあわせるなら、もう少し酸味の突出したものがいいのでより北のドイツの繊細な辛口の(高価でなくても良い)リースリングの方が合うかも知れません。
更に北上しオーストリアの白はかなり素晴らしいものが驚くほどあります。
それはまさに白ワインの宝石箱と賞賛される今日この頃。
お値段も味に見合って結構ポイント高めですが、それだけの価値はあります。


リースリング以外でも美味しくなる組み合わせはイッパイあります。

しかし出来の良すぎるワインはアスパラの風味を完全に圧倒しますので、どの国でも手頃な価格で、
辛くてちょっと酸っぱいもののほうが実は食べ物とあわせたときにバランスが良くなる事があります。

もちろん付け合せのソースで合わせるワインはどんどん変ってきますし、そうするべきだと言われます。
ホワイトソースなのか、バター濃い目なのか、若しくはシンプルなオリーブオイルと品質の良い塩なのか・・・。

そしてレストランでグラスワインを変えながら個々の料理を合わせるわけではないのなら、
それ以外の一皿にも合わせやすい1本(ボトル)の方が家庭の食卓では楽しいと思います。

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この場合、ワイン選びをする際に
どのお料理にも合うものを考えてあれこれ迷うより、最も合わないと思うものを候補から外す方がワインが決まるのが早いと思います。

例えば私たちが個人的に避けるべきと思っているのは泡モノ(シャンパンとかスパークリングワイン)
これはお互いを最も不味くさせる組み合わせで、金属っぽい味になるので避けます。
(せっかくの旬のアスパラが突然缶詰のアスパラ風味に変身しちゃってこれはモッタイナイ。)

マリアージュとはそもそも、それだけでは足りない何かを、別の個性を当てることで高めるという目的のことを指します。
ワインだけ、食事だけ、が単独で完成されていても、そのバランスはフツウに美味しいだけで驚きには溢れていないので意外につまらないものです。


        

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アスパラから話は逸れさらにマリアージュネタに進みます。
(マリアージュの醍醐味を手っ取り早く知りたい方に面白ネタをひとつ。)

日本の食材でワインを面白くする方法はあるのでしょうか。
例えば、ミネラル豊かな産地の、しかも安い白ワインをハイレベルに高められるマリアージュがあります。

 

それは、何と、塩昆布(乾燥して塩がふいているアレ)です。
これを酸っぱいワインに当てるとあらあら不思議、かなり美味しい白ワインに変身します。
特にブルゴーニュのシャブリとかアリゴテで試すとごぼう抜きでワインの格が上がるような錯覚を起こします。
ミネラル(塩味を感じると言う意味)の豊富な産地のワインほどいい感じです

マリアージュと云う意味を理解するには牡蠣にシャブリをあわせるより明確に誰にでも分かります。
ちなみに「岩牡蠣にシャブリ、ミュスカデ」定説よりも私は日本酒をおススメします。フランス人も納得です。
生の味わいで海の幸を知り尽くした国民が完成させたお酒ですから、コレに勝る組み合わせは無いと思います。(自分調べ)

 

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フランスのペラペラなタイプの牡蠣(でもミネラルの濃厚さは日本の岩牡蠣所じゃありません)なら安い白ワインや辛口のロゼでも十分です。

もちろん、上級のワインでもかなり美味しいのですが、季節的に寒くなる方が美味しさは増します。
凝縮感のある白ワインは寒い時期の方がお料理と合わせるときに本領を発揮します。)
レモンが欲しいと思う料理には酸味のしっかりしたワインを選ぶ。
レモンをジャブジャブかけたい人はワインはこの際安物の白をキンキンに冷やす。
(この意味、ワイン好きの方は分かりますよね、)

もっと初心者向けに、かつ赤ワインで何か試したい?
それならまずパンと赤ワインでどうぞ。
赤ワインだけを飲んだ時とパンを含んだ後の赤ワインの味わいは別ですし
どうしてワインは食べ物と一緒に楽しむものなのか至極カンタンに理解できます。
パンとチーズとワインでは?と言われそうですが
チーズに必要なのはワインよりもパンです。
食事の最後にチーズとワインだけになったら、彼らはパンが無い事に憤りを感じる事でしょう。
(ツナおにぎりでツナが無くてもおにぎりは食べられますが、ツナだけだったら文句を言いたくなる感覚と同じでしょうか)


ワインは液体だけだと時に神経質でデリケートで気難しい顔を見せることもあります。
カクテルのようにグラスの中で味わいが完結されていません。
そこにある主役のお皿と結婚してはじめて戴冠式を迎えた王様のようにオーラを発揮するのです。

それが陶酔です。
こんな反応は他のどのお酒にもありません。

 

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ちょっと意外ですが、アルザスの造り手にも魚介類にピッタリな風味のワインを造る人が居ます。
とは言え、アルザスで魚料理を食べる事はまったく日常的ではありません。

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シャンパーニュ地方にも似ているのですが、食文化は立派な肉食です。
しかしフランス全土から見てもアルザスってやはりガストロノミックな地方です。
ここにある3星レストランの数を見れば、ナルホド・・と思います。

そしてそういう美食にはワインは必至です。
アルザスのワインは赤より白ワインが高級ですが、実際に赤より白の方が重いくらいしっかりした味わいの物があります。

 

 

彼のワインはアルザスではサッパリ売れないそうですが、ブルターニュと日本では飛ぶように売れていると苦笑い。
(謙遜と思うでしょ?
マルセル・ダイス同様、ジュリアン・メイエですらも玄人筋の反応と素人の反応は北のアルザシアンの生産者の場合、日本以上に違うのですよ。
シャンパーニュの南北にらみ合い並にキツイ保守的な世界です。)

でも造る人たちは至ってナチュラルでそして至極勤勉。

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 彼(パトリック)のワインは年を追うごとにすばらしさを増しています。
私は彼の存在感が凄く好きです。
日本市場においても既に著名な生産者が集う時も、一種独特のかっこよさがあって何とも言えない雰囲気があります。
非常に聞き上手でクールな印象があるのですが、ひとたび盛り上がるとかなりアツイ語り手に変身するのも彼の魅力の一つかも知れません。
孤高の革命家、マルセル・ダイスのジャン・ミッシェルとはまた違うアルザスのトップ生産者の風格があります。
(ジャン・ミシェルはもはや別格の存在です)
彼らの面白話は尽きないのでまた別の機会があれば。

 

 

ドイツワインとアルザスのワインは何となく、イメージ的に甘い・・・という感覚を持たれる方も未だに少なくありませんが、
ところがどっこい、ワインはどんどん進化しています。

ドイツワインは辛口に非常に力を入れていて、実際は辛口の高級ワインの生産量の方が多いのです。
(フランスに巻けず劣らず分かりにくいラベル表示と言われますが
実はドイツ気質が反映された?大変合理的な品質内容の表示が法律で義務付けられています。
ただしその解読はノウハウを理解していないとサッパリ分からないというツッコミどころで、
欧州のワイン産地が抱えるサガみたいなものでしょう。)

 

食事もグローバル化で、ライトでヘルシーな物が求められる昨今、
造り手自身も、甘いゲヴュルツトラミネールだけでなく、切れのある辛口的なゲヴュルツトラミネールが自分で飲みたいと思ったから造ったと言ってみたり。

 

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余談でスミマセンが
ゲヴュルツトラミネールとは完全にフランス語ではないドイツ語風味のスパイシーな赤葡萄です。
(黒葡萄がピノ・ノワールやカベルネ・ソーヴィニオン、メルローなど
白葡萄はシャルドネやアリゴテやリースリング、ソーヴィニォン・ブランとか)

最近の主流がゲヴュルツの辛口で
これが意外に赤ワインよりも鳩やサラミなどのソーセージの風味と仲がいいのです。
シャンパンの生産者は鳩にピノ・グリや辛口のゲヴュルツを合わせるのが好きっていう粋な人も少なくありません。
実は北アルザスと南シャンパーニュの生産者は意外なところで交流が深かったりします。
道理でアルザスのクレマンが美味しいわけです。
最近では南シャンパーニュでピノ・ブランを使用したブラン・ド・ブランが造られていますしね。

 

アルザスのワインはドイツやオーストリアのワインと同じ背の高いボトルですが
ドイツは交配品種による独特の葡萄が多いせいもあるので、味わい的には全く違う路線と言ってもいいと思います。
どちらかといえばスタイルはオーストリアとアルザスの方が似ている節があります。
ドイツのリースリングはバレリーナ。
アルザスのそれはアスリート。
どちらもしなやかですが酸味という骨格ラインの繊細さに大きな違いがあります。

土地柄の個性って国境なんて関係なく葡萄に素直に反映されるのが興味深いです。

 

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そういえば
華やかでスイートな顔をして、ドライな切れ味抜群なゲヴュルツはアルザスのオトメたちのようです。

 

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実は、アルザシエンヌのオトメの逸話があるのですが
今日はこれをお話して終わりましょう。


戦争の頃とある酒場にプロシアの将校たちがやって来てこういいます。

「お嬢さん、我々にビールを注いでくれ」
少女はひるむことなく将校に向かって言い放ちました。

「あんたたちの為の飲み物なんてアルザスにはないわね。
私たちが作っているのは麦からできるお酒じゃないわ。
麦の酒はへべれけになるだけで陶酔は与えてくれはしない。
どうしても飲みたいというのなら
あんた達が殺しあった敵や同志の流した血をいっぱいに吸ったこのアルザスの大地で育った葡萄の酒をお飲みなさいよ。
私達の葡萄は育つ場所を心得ているわ。決してホップ畑にはしやしないから。」

 

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実はこの手の民謡がアルザスだけでなく、フランス中に沢山あって
ラテンの飲み物=ワイン
ゲルマンの飲み物=ビールといった感じの好戦的な歌も数多く残っています。
(これは人種間のいがみ合いと言うよりも、アルザシアンのワインにかける思いを反映しているようにも感じます。
アルザスにもビール工場はありますのでホップももちろん育てています。
しかしビールにおいてそれはドイツには適わないと思います。)


じつは戦争でアルザスの銘醸地として本来残るべき素晴らしい土地の一部が、かなりダメージを受け
荒廃を極めた挙句、今では麦畑かひどい場合は荒地のままその歴史を閉じようとしてます。

これがもしもブルゴーニュであったなら、
どうなっていたのだろうかと思うと、複雑です。

この事が、アルザスワインの大革命の伏線だったと感じます。

日本ではお茶を濁す程度のアルザスワインの立ち位置ですが
実際、日本人の味覚にもっとも訴えかけてくる魅力を持っていると思います。
ビオロジックで言えば、ロワールが子供に見えるくらい全般的に理屈も技術も味わいにおいてもバランスとレベルが高いかも。

 

ではまた次回の更新まで。

 

 


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