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[ひらめき]最終更新日:12/10/2011

dégustateur des vins [travail 仕事いろいろ]

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フランスのワイン専門誌とテイスターのお話など
続けて行きましょう。


前回は Le Guide Hachette les Vins について
少しばかりご案内しましたが、
それ以外にも沢山の専門誌があります。

今回は専門誌とそれに携わる人のお話を。

 

Gault Millau Vin

Gault Millau Vin 2011

Gault Millau Vin 2011

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: Christian Verlag Gmbh
  • 発売日: 2011/02
  • メディア: ハードカバー

こちらはフランスではミシュランよりも影響力が強いと言われるグルメガイド本が
年に一度出版するワインガイド本です。

ワインの評価はもとより、情報量が圧倒的に他社のガイド本よりも豊富で
さすがは老舗のグルメガイド本が手がけるだけの事がある内容です。
フランスを旅行する際にワイナリー巡りをしたい人にはもってこいの
周辺の宿泊施設や生産者おススメのお店などかゆい所に手が届く情報が満載です。
 
 
さて、このワイン版のゴーミヨに1987年〜1996年まで関わっていたジャック・デュポン氏が
今回、ボルドーガイドブックをリリースしました。
特筆すべきはその内容が単なるワインの評価と一般的な情報に収まり切らない
30年以上この仕事に携わり、各地を歩いた彼ならではの、知り得たシャトーの物語や裏話的な内容が満載です。
 
 
LE GUIDE DES VINS DE BORDEAUX
 
 le-guide-des-vins-de-bordeaux,M60358.jpg Jacques DUPONT


 約2000ページにも及ぶ莫大な情報ですが
ワインやシャトーの歴史だけではなく、彼ならではの内容の濃いそれぞれの蔵出しストーリーが
ふんだんに織り込まれたボルドーの百科事典といえるでしょう。
 
 

 
 
フランスのニュースではバイブルと評されていました。
(日本だとありがちですが、聖書に喩えるなど、キリスト教のお膝元では滅多にありえません)
 
北ブルゴーニュ生まれの名テイスター
もちろんボルドーだけではなく、あらゆるワインの評価に大きな影響を与える一人ですが
彼は多くのテイスターの中でも
その人柄や仕事姿勢はもっとも尊敬を受けている一人でもあると言えましょう。

 
 
 
ゴーミヨ(ワイン部門)で一時代を築いた彼ですが、この仕事に於ける最高の相棒を心臓発作で失い、
以降ゴーミヨから退き、今はフリーのワインジャーナリストとして活躍する傍ら
Le Point と云う雑誌でワイン部分のエディターも兼任されています。
 
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私も氏と一緒にとあるワインの徹底試飲(調査もかねて)に
おつきあいさせて頂くという幸運に恵まれた事があります。

噂通りの、素晴らしいテイスターで
そしてその公平なティスティングの姿勢は
今まで会った威厳のあるテイスターたちとはひと味もふた味も違っていました。
限りなく
フツーのおじさん的です。
 
そしてひとたびワインと向き合う時
そこには醸し出される静寂に無の境地のような空気があったりしました。
淡々と、心が乱されること無く
しかし、どのワインに対しても敬意をもって接しています。
ワインを愛するプロフェッショナルがそこにいました。
 

最前線の現場で
多くのプロフェッショナルたちが、多くの名テイスターたちと仕事をした中でも
とりわけ彼を尊敬し一目置きつつ、友愛を感じると云わしめる意味がよく分かりました。
 
 
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今回はある特定の地域のAOCで2010年ヴィンテージを約36アイテム。
小さな休憩を入れつつ、大方2時間半程で行われました。
 
一つのワインを判断する時間は5分とかからなかったと思います。
いえ、彼自身は3分あれば十分だと言っていました。

これが長いか短いか。

生産者もよく口にしますが
一つのワインに対してテクニカルに語るのは5分あれば済む話だ。
それ以上かけても理屈の堂々巡りだ。
それでもなお語りたいなら、仲間とテーブルに移って飲めばいい。
ワインは楽しむ飲物で、議論するための物ではない。
 ・・・・
これは試飲の時間ではなく、
テイスティング(利酒)と味わう(飲酒)の違いについて語った言葉ですが
これらは言いえて妙な部分があると思います。
 
テイスティングについては
限られた時間と、アイテムの量も関係しますが
5分はワインに対してフェアな判断時間として短くはないでしょう。
それでは、丁寧な試飲とは言えず、造り手に失礼だ!
と仰る方もいなくはありませんし、人それぞれやり方はあると思いますので
これが正しい、というスタイルはそもそもありませんが
5分で判断した人の意見と20分かけて判断した人の意見が
大きく違うと言う事も、稀ですから気にしなくてもいいのです。
(あくまでも、フランスの最前線のトップテイスターの例ですから)

莫大な経験値のストックが頭(五感)の中にあれば、
判断までの時間はどんどん短くても不公平な問題はありません。
(そのワインの将来の着地点も、もちろん判断の中に含まれます。)
 


そもそも
これは単発でワインの個性をひたすら利くしごとであり
ソムリエやカヴィストがお店に置くワインの為の試飲とも違います。
まして食卓で楽しむ人達がワインをそんなに難しく考えながら飲むと、楽しさも半減します。
ワインのプロたちは、ワインを楽しみたい人の代わりにある種の面倒な作業をしているだけですから
特別凄い人などではありません。
みなさんのお役に立って始めて仕事をした事になるのです。

 

 
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さて、話を戻しますが
デュポン氏の試飲は淡々と、そしてかなり自身が集中して進めて行くタイプですが
決して神経質になる事も無く、リラックスした状態で
周りのスタッフとも和やかなムードで進められて行きます。
全体的にポジティヴで、一切否定的な言葉を発しません。
ブショネに対しても慎重な姿勢で向き合います。
それはワインのせいではないので交換して気持ちをリセットして向き合いますし
自身の中の点と線に徹底して深い情報を求めます。
どのワインに対しても礼節を重んじていると感じられます。
試飲している時には多くの言葉は探さない。
これはワインを学び始めたときと真逆なのですが、
すべてゼロにした方が実はクリアに見え、ワインの方から雄弁に語って来ます。
むしろ、素晴らしいワインほど黙らせます。
 
 
 

 
さて試飲が終わった後、
彼の親友のチーズ職人が差し入れをしてランチをしたのですが
これも気さくこの上なくて、地元のチーズとハムをバゲットで和気あいあいと。
そしてお供は先ほどの試飲したワイン達。

 
この間では、一切ワインに付いて語る事もなく
家族で過ごす休暇の話や思い出の写真を披露して頂いたり
日本酒とチーズの相性について話が盛り上がったり
かなり他愛のない、しかしオンもオフも楽しい時間が過ぎて行きました。

良い仕事を全うするには
高いプロ意識と、上下に関係なく周囲に対する思いやりと敬意が基本です。
そして常にどちらも仕事相手に対して深く感謝を示します
とりわけ、サンプルを提出してくれたすべての生産者に心からの感謝を述べられていました。

 
そしてその後、テイスティングで特に気になるワインとチェックを入れた生産者の情報を確認し
その足で次々と訪問してさらに深い情報を仕入れに向かって行ったのでした。
 
そんな様子が、Le Point 誌のワイン特集号に沢山掲載されています。
 
 
 R0017199.jpg
 
 

 「ん〜、こいつはいいねぇ。

     実にバランスが良く、奇をてらわず、清潔で品があるなぁ。

 う〜ん、私はこういう何か一緒に食事をしたくなるような気分になるワインが好きだね。」

同時に目が合い、お互い無言で微笑み頷いたあと
最後の試飲が終わって更にもう一度このワインに立ち返り彼が漏らした言葉です。
そして
そのワインの造り手は
紙面でも非常に大きく、しかし“奇をてらわず、上品に”絶賛されていました。

 

 

 

コンクール系のお話も一挙まとめてしまいたかったのですが
力つきて今日はここまで・・・。

 


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