l'apéritif à la française

フランスではアペリティフと云う習慣があるということは以前にもお話したかと思います。

フランス食品振興会とかが最近世界に向けて力を入れているらしいイベントに
アペリティフの日
なるものが、かれこれ5年位前から作られました。

多分、当のフランスでは殆ど誰も知らないかも。
（業界関係者しか知らないと思います。
なぜならそんな日をフランスであえて作る必要が無いからなんですけど。）

 

そのお祭は「6月の最初の木曜日」にあるのですが、
（１１月の第３木曜のイベントにあて込んでいるような・・・とは考えすぎでしょうか？）



過去にお手伝いをしたことがありますが、シャンパン・ブースの強烈な盛況さに
（というよりあれは一揆か合戦でも起こったかのような異様な状況でした。）

　
人混みと、殺伐としたムードで、まさにそこはアペリティフを楽しむというよりは戦場と化しており
シャンパンを最初の一口に・・と求める方も当然ながら殺到します。



とにかく需要が供給に追いつかないというのはこういうことです。

 



そして人混みは増える一方で、すぐに溢れかえってブースの中にいる人間からは、もはやお客さんの腕しか見えません。
端から端まで配給を待つ腕だらけでした。
これが朝１１時から夜8時までずーっとこの状況でした。

殺到される人波の恐ろしさにすっかり怖気づいたフランス人（シャンパンの生産者）は
たった1回のイベント協賛で永遠に参加を辞退する表明を次々に・・・。
恐らくあれはトラウマになってしまったようで、フランスでは未だに語り草です。
あれじゃ、お越しになったお客さんたちの方もネタは満載かも知れませんね。

反省点の多い所もありましたが
翌年からはこういった人数が殺到する時間帯の問題点も解決されて、相当楽しみやすくなった様子です。
時間帯によってチケットの販売を分けているので、爆発的に人が集中したり、その所為で何も購入(チケットと交換）出来なかったということは無くなったと聞きました。

 

　ちょっと色気無いですね。＾＾；

　

日本では、引き続き毎年色んな所でこの「アペリティフの日」のイベントが行われているようで、
毎年盛り上がっていると聞いていますので
今後もこの楽しいお祭騒ぎは続けられると思います。
(一応、世界的にこのキャンペーンに力を入れているようです。　多分欧州大陸を除いて・・・・。）

　　←アテ、色々です。

 

さて、他人事のようになりましたが
当のフランス人のアペリティフについて、またツラツラ書こうと思いました。

 

基本的にフランス人は（欧州の人といった方がいいかな？）
日本のように仕事が終わってから仲間とアフター5のようなお付き合いみたいな飲み会は致しません。

なので気のあった友達などは、お互いアペリティフに招待します。

夏場は日が長いので、ダラダラと喋っていても何時までも明るいので
フランス人のお喋り祭
のようなものです。

アペリティフで出す飲み物は、別に必ずお酒である必要もありません。
お酒の場合は地方色がもろに出ますので、その地方のお酒がテーブルを飾ります。
そしてジュースも必ず出ますし、中にはお茶を飲まれる方もいます。
各々の人が好きなものを飲み、大いに喋る夕食前の集まりのような感じで捉えていいと思います。


時間も夕方に決まった訳ではありません。
ちょっとした用事で訪問すると、用が終わるとちょっとアペリティフしていく？なんてありです。
（子供でもちょっとだけ薄めたピノーなんかは飲みます。）

要するに、喋る為にある習慣です。
決して「アペリティフの日のお祭イベント」のように、豪華な食前酒とおつまみで特別な事をするわけではなく
気軽に（一杯引っ掛けながら）楽しむ時間を指すのです。

　食後酒をカクテルにして食前酒にする動きも

 

ここで注意したいのは、
アペリティフではおつまみは出てきても
どんなに時間が経ってもメインの食事は出てこないという事です。

逆にその後の食事にも招かれている場合は飲む量もおつまみの量も考えておかねばタイヘンな事になります。
要するに、基本はお喋りなのであって、食べる事でも飲む事でもないということが最大のポイント。

    

 

食事に招かれた場合は
このアペリティフが最初に必ずあるわけで、大体1時間位飲みながら喋り続けて、
じゃそろそろ？となる頃に
テーブルを移動して食事に入るのです。

レストランなどでも、最初はテラスなどで食前酒を飲んでから、
いよいよ食事が始まる時には建物の中の別のテーブルに移ります。
（何となく気持ちが盛り上がりますね）
モチロン、場所によってなので、そのままテーブルを移動せず切り替えがなされる事もあります。

 

シャンパーニュ(地方）のアペリティフの場合は
甘めのシャンパン（年齢が高くなるとこの確率が上がる）かラタフィア(甘口の酒精強化酒）。
若い人たちは辛口のシャンパンで
オリーブやスナック、ビスキュイ・ド・シャンパーニュ（メレンゲのお菓子）とかが多いです。

　   生ハム率はコニャックの方が高い気がします。

コニャックの場合はピノー・デシャラント（発酵を途中で止めた甘い果実酒）を冷やして飲んだり、辛党にはコニャックのシュエップス割りが定番。
フェタチーズとトマトの盛り合わせとか、オリーブ、スナック系も多いです。
一番のお気に入りは、メロンを半分に切って、その真ん中をくりぬいてピノーを入れて、スプーンでメロンと一緒に食べるアペリティフは最高にリッチな気分です。
メロンはデザートじゃなくてコチラでは前菜ですので。

 

　　

中がオレンジ色の身が引き締まったメロンです。
日本のみずみずしいメロンとはまた違います。
ちなみに、お祭の時もアペリティフからスタートですよ。

 

ブルゴーニュは、（残念ながらキールではなく、）白ワインとか辛口のロゼなんかも飲みますが
いきなり赤ワインから入るパターンも多いです。
なのでキッシュが出てくる事もありますが、やっぱりスナック系が多いです。

　お約束ですがグジェール。

 

チーズは食後の食べ物なのでアペリティフでは基本的に盛り合わせのような形では決して出ません。
（あくまでもフレッシュチーズ系が加工された状態で付いてくる程度。）

ボルドーに行くともう少し手の込んだ、「コジャレた」アテが増えます。
ちょっとお手本にしたいような、本に出てきそうなおつまみが多いなぁと思っていたら、
やはり最新のアテが満載なレシピ本が本棚にびっちりありました。（笑）
お料理好きの方の家のアペリティフはおつまみも最高で楽しいです。


フランスのアペリティフ自体がとても簡素なのは、それだけ特別感のあるものではなく
とても日常的な習慣にも似たコミュニケーションの一つなのではないかと思います。
（日本でいう縁側で、まぁお茶でもイッパイ・・・的な感じでしょうか）

時間の流れもまったく違って過ぎていきますが
交流を深めるとても重要な手段の一環です。

　

さて日本でもこれから日が長くなり、過しやすい夕暮れには
ちょとアペリティフしながらゆる～く気の置けない仲間と楽しむのもいいかも。

日本の場合、
お喋りよりも飲みすぎに、くれぐれもご注意下さいませ・・・と言った方がいいのかな？

 

 

では

 

コメント 22

フランス人の様にオシャレに
ゆっくりと流れる時間を楽しんでみたいです！！
by blume (2008-05-26 11:54) 

アペリティフ用のおつまみどれも美味しそうです～
日本人はゆったりと時間を過ごすのが苦手ですよね＾＾；


by miffy (2008-05-26 13:08) 

今年初参戦っす！
ジムに通って備えようかしら。。。
by wino (2008-05-26 13:28) 

子どもの場合、これでお腹いっぱいになりそうですね。小さいサンドウィッチとかパイっぽいのが
あるのは、これのためだったのかな。大きいのどーんのアメリカと違って、小さくおしゃれなのね
と思ってたけど（＾＾；；
おしゃれなおつまみかぁ。読めないけど、レシピ本、見てみようかな（＾m＾）
by どらっち (2008-05-26 15:52) 

そうそう、基本はおしゃべりなんですよね。飲みでも食べでもなくて。
でも、このアペリティフのイベント、ドイツでも全然知られていませんねえ。
そんなに人が来るんですね。
仕事の後職場の人と飲みにいったりすることがなく、気の置けない仲間をうちに呼んでおつまみとお酒などでおしゃべりする、というのは、ドイツも全く同じです。
日が長くて、あたたかくて、バルコニーでおしゃべりするのも楽しい季節になりましたね。
お庭だったらもっと楽しいだろうなあ・・・
by めぎ (2008-05-26 16:08) 

行列はフランスでも珍しくないでしょうが、日本の真面目な（ややぴりぴりしている）感じの人だかりは、見慣れない人には確かにコワいかもしれないですね。フランスの人ごみはもっとユルい気がします。

メロンにピノー、いただきです。一人だとメロン１個食べるのは結構大変なのですが、これなら食べられそう。こんど試してみます。
by aia (2008-05-26 16:28) 

フランスの食事の文化、日本とは随分違いますね
食事の前に飲みながらのお喋り、日本では
食べながら飲んだり喋ったり、あまり長い
時間はとりませんね。

by wakatate (2008-05-26 16:41) 

基本はお喋りなのであって、食べる事でも飲む事でもないということが最大のポイント
・・・・・・・・・アジアの人々が一番苦手なことかもしれませんね

軽佻浮薄なヤツと思われがちですものね
気軽であることが素敵なことなのにね
by pace (2008-05-26 17:32) 

おしゃべりしながら、飲んだり、食べたりは、楽しいですよね♪
欧州の人たちは、いったい、どんな話をしてるのかしら・・・と思ったりするんですけど、
たわいもない話で盛り上がったりするのは、どこの国でも同じなのかしら・・・。

by Inatimy (2008-05-26 18:10) 

日本だとお祭り騒ぎになっちゃっていますが、本来は特別のものじゃなくて
気軽に楽しむものなんですね～。知らないことを色々教えていただけて嬉しいです♪
メロンにピノ、お洒落ですね♪　メロンにウイスキーならやったことがあるのですが・・・＾＾;
トマトにフレッシュチーズのアテも可愛いですね(*＾＾)v　真似しちゃおっと♪
by chercher (2008-05-26 22:18) 

横浜でもアペリティフの日にイベントがあるのですが、開港記念日という大々的なお祭りが6月2日にあるので、いまのところ注目度は低いかなぁ・・・。
からめれば浸透するのかなぁ・・・。
by てんとうむし (2008-05-26 22:44) 

昨年、名古屋でのこのイベントに参加しました。楽しかったですが、確かにびっくりの混雑で、“アテ”にありつくのは死闘戦でした。でもシャンパーニュはプラスチック製のシャンパングラスでちゃんとおしゃれにいただけてなかなか気分良かったです。日本人って普段のビュッフェパーティでもつい、会話というより食べることのほうに集中しちゃいますもんね～
by ルビー (2008-05-27 07:58) 

シャンパンにも甘口と辛口とあるんですね。
グジェールとか、本では見たことありましたけど、こうして読んでみると実感湧きます～（＾＾）
メロン・・・アルザスでも５月くらいからずっと売っていた、プロヴァンスから来る、小さめの、
オレンジ色の果肉の、アレかしら。本当にデザート扱いじゃないんですね。
by ＪＦ (2008-05-27 08:29) 

メロンがかわいい！ハロウィーンの灯籠をつくりたくなりますね。
by トムヤム (2008-05-27 09:04) 

ハイ、あの時確かに配給を受けさせていただきました（＾＾ゞ。
もしかしたら、まだ顔を知らなかったjulliezさんからプラ・カップ入りのルネ・ジョリを受け取ってたかもしれないけど、腕しか見えなかったんじゃ、出会うワケないわな（笑）。

確かにあのシャンパン・ブースはすごい人波だったし、生産者さんたちからは散々だったかもしれないけど、行った方は意外と楽しかったよ、このイヴェントは。
by yk2 (2008-05-27 22:21) 

気軽に楽しむって感じが
Goodですね！
by ハイマン (2008-05-28 00:11) 

フランスのメロン、美味しいですよね～。また、食べたいなぁ。。。
最後のプチ･トマトとフレッシュチーズ、見た目にも可愛いですね。美味しそうだし！今度、家で作ってみます！
アペリティフでのお喋り･･･って、楽しいですよね～♪ 適度なアルコールと美味しいおつまみがあると、最高かも・・・！
by Mimosa (2008-05-28 22:44) 

こちらの周りのフランス人を見ていると　まさに「縁側でお茶でも一杯」的な感じなのですが
その雰囲気が日本に入るとどうしても「おフランス」的になってしまうのは
フランス通と称する日本人に「おフランス」な方が多いって事なのでしょうか
お酒はお気楽なのが一番です☆
by mompeli (2008-05-29 21:41) 

日本人はなかなか性質的にゆったりとアペリティフ何かを楽しめないようなせわしない人種ですね^^;
でもきっとそういった時間を過ごすことに憧れはあるのでしょうね^^
う～ん、のんべぇの私はボルドーでこじゃれたアテ（笑）でアペリティフとおしゃべりを楽しんでみたいです^^;
by Ballacki (2008-05-31 21:01) 

恥ずかしながら、お酒が飲めないので、１人ご飯だと１５分もあれば
食事は終わりです。＾＾；
ゆったりと会話を楽しみながら、アペリティフを片手に優雅な
時間を過ごしたいですね。

by noie (2008-05-31 21:22) 

★みなさま
コメントにご訪問ありがとうございます。
今年もそろそろイベントのアペリティフの日が近付いているようですね。
（といっても過去に手伝ったときも配給は係りの人が決まっていたので後ろでサンドイッチばっかり食べていた私ですが）
おフランスチックな余所行きのイベントも楽しいでしょうが、どうか肩肘張らずに普通にお茶でもイッパイ・・なコミュニケーションのツールとして楽しんでいただければより欧州風です。
またアテも追々お伝えできればと思います。
by julliez (2008-06-02 06:24) 

ひゃ～　過去のイベントがそんな恐ろしいことになっていたとは。。。（＾＾；
にょきにょき伸びる腕を想像するとおそろしいデス　笑
私、結婚してから当日急に「飲みに行こうか」っていうお誘いに、
やっぱり対応できなくなったんですね。
でも、たまーに「飲みたい！しゃべりたい！」って言うときに、
定時に会社出て、スタンドワインバーとかでワインとチーズをちょこっと食べて、
しゃべって、30分もしないでじゃね！ばいばい～ってお友達と別れたりするんです。
それもちょこっとアペリティフだったんですね～♪

by こぼぱん (2008-06-12 02:09)