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最終更新日:12/10/2011
le Chêne 樽職人の技 [travail 仕事いろいろ]
樽のあれこれに色々とコメントを戴きましてありがとうございます。
鋭い突っ込み ご指摘とご質問にお答えできるように頑張ってみました。
オーク樽のオークは樫木・・・と書きましたが、正確には産出される地域によって少々違いがあります。
実は、オークには雑種が多く、買付け業者ですら判別が(日本人の望むレベルの)正確に出来ません。
補足致しますと
le Chêne というフランス語には、柏、オーク、楢、樫、などブナ科コナラ属の木の総称を指すのです。
私の分かる範囲ですが、
リムーザン・オークはタンニンの強いスパイシーな欧州ナラの木です。
しかしこれも雑種が含まれるので純粋なナラ、純粋な樫と云う見極めはムヅカシイのではないでしょうか。
リムーザンの森
フレンチ・オークは成長がゆっくりで、ワインの樽として伐採されるには平均樹齢は150年からそれ以上です。
(アメリカンオークは成長がもう少し早いのでもっと早く伐採できます)
冷涼な地域で育った樹の木目(繊維)は密でより痩せた土壌であるほど更に密になります。
今日、植えた樫木はワインの樽になるまでに孫の代になる訳です。
そして森林はワインの保存がアンフォラという壷から樽に変わった時から常に守られ荒廃することなく整備されています。
スピリッツやブランデー(コニャック、アルマニャック、マールなど)はスパイシーでタンニンの豊富なリムーザンのオークが向くと先日書きましたね。
ではワインは?
これは(フランスでは)アリエール県のトロンセの森産やヴォージュ産のものが高級ワイン向きで、
ニエーブル県のヌヴェールの森産の樹では比較的バニラ香がつきやすいのでその香りとの相性が良さそうなグルナッシュやシラー系のワインなどによく使われるようです。(自分調べ)
平均樹齢150~200年の伐採された樹
アメリカンオークに豊富に含まれるバニリンと言う成分がワインにバニラっぽい風味を与えるのですが、この成分がフレンチ・オークに比べてより収斂性を帯びて苦味を感じるのです。
そのため、ワインは特にスペインのリオハワインや、オーストラリアのシラーズ、カリフォルニアのジンファンデル、
などに向いてはいるものの、カベルネ・ソーヴィニォンやメルロー、繊細なピノ・ノワールには向かない(シャルドネでさえ)と言われていましたが、
これはのこぎりで製材された木を炉で人工的に乾燥させるのが一番の理由に挙げられるようになりました。
なので、カリフォルニアの高級ワインは主にフレンチ・オークを多用します。
(但し焦げ目はフランスワインより強く入れる傾向にあるようです・・・自分調べ。)
ではフレンチオークはどうなのでしょう。
のこぎりでは切れないのでこのように割ります。
のこぎりで切っても恐らく歯が立ちません。
見るよりも力の要る仕事です。
そして裁断された木は積み上げられ数年間、野ざらしで乾燥させられます。
これが結構、本当に野ざらしです。
雨風によって、ラクトン(ナッツのような風味)、タンニン(色素と渋味成分)が流れ出て樽の風味はマイルドになります。
乾燥期間は約2年ほど。(途中で裏返します。)
最近は需要が過多で高級樽メーカーの一つ、セガンモローは乾燥が十分ではなく製造してしまうのでボルドーの生産者は文句たらたらです。
アメリカンオークも最近はフランスの製樽会社(セガンモロー)が参入して技術提携を図り、質の向上に励んでいます。
(ですから樽もきちんと自然乾燥するものも増え、昔ほどアメリカンオークが甘いバニラやバタークッキーな風味で満載ではなくなりつつあるようで)
それでは樽の形成に移りましょう。
樹は大変堅いのでカーブをつけるときは熱を使って曲げます。
これは概ね2通りあるのですが
蒸気で曲げる方法と直火で曲げる方法。
もちろん、これはどちらの方法で行うかによって、ワインが受ける風味にはまた違いが出てきます。
(特にオークと相性のよいシャルドネはこの樽の種類によって全く違う表情を見せます。
それは一概にテロワール・・土壌・・の影響と言うわけには行かないようです。)
形成後の樽に焼きを入れる「焼き」だけではないこれらの仕事の技でもワインへの影響は多大です。
このようにして樽の板は曲げられます。(直火法)
新樽には目指すワインの風味ごとに焼きが入れられます。
これは数10分平均ですが
30分位ならスパイシーでピリッとした感じの風味。
40分位でバニラ、バター、栗っぽさの風味。
50分頑張ると、更に芳ばしいトーストから煙の香りがつきます。
それ以上・・・焼くかどうかは分かりませんが、生産者によってもしオーダーされたらあるかもしれませんね。
では焼きを入れられている樽をご覧下さい。
え?
分かりにくいですか。
こんな感じです。
メラメラしてきましたね。
いい香りがしてきます。
芳ばしいです。
コニャックの樽の場合は火は長めに入れてトースト香を強くします。
強すぎると燃えそうで心配ですか?
木目が細かいからそう簡単に燃え尽きません。
これが焼きいれたられた樽です。
しっかり焦げていますね。
その後、フタを嵌められる訳です。
で仕上げはこんな感じ
楔(くさび)を入れつつ研磨します。
アメリカンオークは材質が密なので鋸で切ってもワインが漏れないのに対してフレンチオークは多孔質で液体を通しやすいために楔を打ち込みながら製材します。
そして磨きながら更に製材していきます。
ところで気になるお値段の話ですが
アメリカン・オークの場合、3万円~5万円が相場だそうで
フレンチ・オークの場合、8万円以上
高くてかなわんよ・・・な方々は、今スロヴェニア産などの東欧のオークを買うそうですが
コチラは5~6万円。
この値段の違いは丸太1本あたりの樽収量の違いからです。
アメリカンオークは丸太一本から樽4個分以上が出来ますが
フレンチオークの場合、バリック2個分です。
<オマケ>
オーク樽、ステンレスタンク、コンクリートタンクについての違いを少々。
木樽は特にグランクリュ(特級)ほど新樽だけを使用する生産者は多いのですが
最近は新樽の香りが強すぎるのを嫌い、新樽率を下げるため、新旧を取り混ぜて寝かせたり、格下げ下ワインで風味をあらかじめ取ってから上級キュヴェに使用されたりします。
さて、ステンレスタンクで熟成したワインは安いワインなのでしょうか。
例えば葡萄品種によっては樽との相性が合わないものもあります。
例えば北の葡萄、リースリングのような繊細な葡萄やゲヴュルツトラミネールなどの、そのものが華やかな葡萄には新樽の甘みを含んだフレーバーよりも大樽や古い樽(中性)で保存してワインの風味を変えることなくまろやかにする方が美味しいワインになりやすいです。
またステンレスタンクの場合は樽と違ってワインを空気に一切触れさせない為、フレッシュ&フルーティが売りのワインには必須です。
アルザスのミュスカ、ロワールのソーヴィニョンブランとか、ミュスカデなど。
シャブリも格や区画によって葡萄の性質や味わいが換わるので樽熟成とステンレスタンク熟成の2つの手法が使い分けられます。
モチロン、大量生産のワインの中にはステンレスタンクで大いに醸造されるのですが・・・。
樽はワインの風味に大いに影響を与えます。
樽での熟成期間もまた、ワインの風味に影響を与えます。
樽のお話はまだまだ色々あるのですが、長くなりましたので今回はこれで。
またご質問や機会があれば更新しますね。
最後までお付き合いいただきましてありがとうございます。
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実物の写真を見せられると圧巻です。
はじめて樽の内側を見たとき、なんでまっくろなのか、カビでも生えてんのか!?とビビったのをまざまざと思い出しました。ムートンは多めに焼くから、モンダヴィのOpusOneやコンチャイトロのAlmavivaの樽もこのノウハウを取り入れてるとか聞いていますが、実際にどんなことなのか、想像し易くなりました。ありがとうございます。
そう、カリフォルニアだってフレンチオーク樽尊重主義ですが、それなりの新樽は$850くらいするんですよね・・・。
でもこれをケチってアメリカンオークで作ったシャルドネを飲まされたことがありますが、グースベリーみたいな独特の青っぽさというか、バニラがネジ曲がったような風味が乗ってしまって、まるっきりアウトでした。やはりフレンチオークでないと。
そのバニラっぽいバターっぽい香りですが、樽から乗った香りをテイスティングの時にそう表現したら、Ch.モンテレナのお姐さんに「うちはMLかけてません」と、すご~く冷たい目で馬鹿にされました。今後僕はモンテレナ買うことは無いでしょう。(爆)
by koba-sf (2007-09-09 23:39)
樽に焼きをいれて、目指す風味をだすとは、知りませんでした。なるほど~。
アメリカのワインとフランスのワインは、葡萄の違いもさることながら、樽の違いもあったんですね。
勉強になりました。
by TaekoLovesParis (2007-09-09 23:43)
いつもながら、色々と勉強になりました!色々な知識をどうもありがとうございました!
by newyork (2007-09-10 00:35)
★koba sama
焦げはどちらかと言うとブルゴーニュのようなタンニンの少ないワインの生産者がかつて長めに焼いてもらっていたようですが、今はまたマシになりつつあります。
で、ボルドーの大御所も焼き目は樽によって、またワインの方向性によって色々で、最終的に各品種ブレンドの時に味わいの調整をつけます。
あと、出来のいいアメリカンオークは最近フレンチオークと見間違うほどです。
(ちゃんと雨風にさらして過剰なタンニンとラクトンの灰汁抜きしているそうですので・・調べてみてください。)
樽をかけない生産者はMLFで風味を出しつつ過剰な樽香を避けるようです。
ってか、MLFは樽でやっちゃうとちょっと勘弁してほしいワインが多いですね。特に白は。
バター=MLってワイナリーで働いているのに至極貧相な発想ですよね、オネエサン、(モンテレナ)ダメじゃん。▼ω▼
★taeko sama
アメリカのワインの全てがアメリカンオークじゃないんですよ、高級ワインは殆どフレンチオークです。
最近は改良に励んでいるので樽の味しかしないワインも少なくなりつつあるはず・・・かなぁ・・・。
★newyork sama
こちらこそいつも温かいコメントありがとうございます。
多謝でございます♪
by julliez (2007-09-10 01:16)
すごいな。ワインもだけど、樽もすごく時間と手間をかけられて作られるんですね。薫製もモノによって、木の種類を買えるものですもんね。ワインも同じように種類によって変わるのですね。すごいな、すごいな。ワインに魅せられる人がどんどん深くハマっていくのが判るような気がする。私は貧乏舌だから、助かったのかも(笑)
by どらっち (2007-09-10 02:56)
いろんなものから影響をうけてワインのおいしさが出来上がっていくんですね。
今日も楽しく拝見させていただきました。チョットカシコクナッタカナ?
ところで・・・バタークッキー風味のワインって・・・。ドンナノカキョウミアルナァ・・。
by Ducca (2007-09-10 03:20)
つい先日、オーク材っぽい材木がものすごく大きくて平べったり船にぎっしり積まれてライン川を上っていきました。どこか遠くから運ばれてきて、ワイン用の樽にするのかしら。
by めぎ (2007-09-10 04:45)
150年~200年かけても、木目が密な木は、あの太さにしかならないんですね。
木の育成も大変な作業・・・。
しかし、よくもまぁ、木のつなぎ目がピッタリと合わさるものですねぇ。
微妙な角度に、驚きです。
by Inatimy (2007-09-10 05:31)
これまた、とても参考になりました。樽についてはおぼろげながらそうかな、と思っていたことがいろいろ明確になりました。有難うございます。
by krause (2007-09-10 06:17)
樽に焼きを入れていたことも知らなければ、焼き時間によってワインの風味が変わることも知りませんでした。知れば知るほどに、ワインの道は深いです。
by aia (2007-09-10 06:38)
今日もとても興味深く読ませていただきました。
ビールは苦手でワインはほんの少しの私ですが、
本当に何にも知らなくていただいていたのだなーーと思いました。
by rino (2007-09-10 11:27)
樽の焼きの入れ方でワインの風味が変わるのですね。
知らないことをいろいろと教えて頂いてありがとうございます^^
by miffy (2007-09-10 13:34)
これはすごい資料です。
製作過程はこんなに詳しくみたことなかったです。
木の性質もそんなに違うんですね~
by nicolas (2007-09-10 14:49)
わぁ、すごい
感動です
普段気にしなかった樽にも凄いこだわりがあるんですよね(当然だよね^^)
昆だけ画像も見られて、嬉しい限りです^^
by RangerMaeda (2007-09-10 15:29)
樽造りも大変なんですねぇ・・・・
by toraneko-tora (2007-09-10 20:29)
こうやって作った樽にワインを寝かせると、よい香りがつくんですね~
樽作り過程、いろいろ勉強させていただき、ありがとうございました。
by noie (2007-09-12 13:31)
またまた勉強になりました。
ステンレスタンクでも美味しいワインができるなんてこれも面白いですね。
それと、樽からワインが漏れることは無いのかしらなんてよく思っていたのですが、
やはりしっかりと作られているんですね。
by ミカチ (2007-09-20 06:43)
大変参考になります!これからも遊びに来させていただきます!
by ソムリエ社長 (2008-02-07 21:42)