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[ひらめき]最終更新日:12/10/2011

シャンパン偉人伝 Dom Pierre Pérignon [champagne-ardenne 地方]

この修道士の功績を調べるのはとても楽しい作業でした。
とともに、大変デリケートな記事更新になりました。

というのも
例えば、現在この修道士の名前で検索にかけると、殆どが商業用の広告にその名前や功績が印象づけされているため、実際のワイン史に記されている内容と、大筋で間違ってはいないのですが微妙につじつまが合わない曖昧な表現が多く、それを文化史と照らし合わせると、まるで重箱の隅を箸でつつくような行為に思えてきました。

 

なので、ここでは楽しくカンタンに、

誰でも分かるドン・ペリニョンってどんな人?

風に、ただしフランスの文献からだけ引用した内容で更新します。
(現地のシャンパンメーカーの資料も一切省きます)

ワイン界のレオナルド・ダ・ヴィンチと呼ばれた伝説の修道士
(この表現はまだ広告で引用されていないようですが、フランスワイン史上でそう呼ばれています。
今後広告で引用される可能性もありますね▼ω▼ )

ドン・ペリニョンはこんな奇跡のおじさんだったのです。

 

ベネディクト会オーヴィレール大修道院の修道士ドン・ピエール・ペリニョン神父は、
1639年にシャンパーニュ地方のサント・メヌーで産まれ、イエズス会士の教育を受けた後に
1657年にベネディクト会に入会します。
1668年にオーヴィレール修道院に配属、その後、修道院のワイン食料貯蔵庫長として29歳で管理責任者となります。
1715年に亡くなるまでのほとんどを、修道院で(神に捧げる)シャンパン造りの発展に人生を捧げました。


修道僧といえば神に仕え、その日々は祈りと労働にあてられます。
葡萄を栽培し、ワインを造る事も、当時の修道士の大切な労働の一つでした。
(ミサに白ワインが使われることを思い出してください)

 オーヴィレール修道院

 

ドン・ペリニョンがワインに対して残した功績は大きく言うと以下のようになります。
(ワインに興味の無い方、ごめんなさい。ちょっとコムツカシイですがので飛ばして下さっても結構です。)

 

黒葡萄を使った白ワインの醸造をしたこと。

●異なる地域の葡萄、異なる年のワインをそれぞれブレンドし類まれな芳香を見出し、品質を安定させワインに品と洗練を与えたこと

●当時の修道院が管理していた39アルパン(約19ヘクタール)の葡萄畑の開発・活用

●巨大なオーク(樫)の木の幹を利用した15メートルの圧搾機(葡萄果汁絞り機)の建造

白亜層をくり抜いて造った巨大な地下カーブを造らせたこと。

●分厚いガラスを採用してシャンパンの泡の気圧に耐えうる瓶を使ったこと(作らせたこと)。
 これにより
ワインを樽の中で発酵させるのではなく瓶の中で発酵(瓶内二次発酵)をおこして発泡性ワインを作る原理を明確にした。

●油をしみこませた布に木の栓からコルク栓への改善をしたこと

●(ビン内2次発酵で)瓶にたまる澱をワインをあまり濁らすことなく取り出す口抜き(デゴルジュマン)を考案したこと。  

 

さてこれらのキーワード、

ここでは少し落ち着いて奇跡のおじさんの功績を歴史の文献に照らし合わせて大方の過大広告の言葉の汚れを落として見てみましょう。
最初の5つについてはドン・ペリニョンの成し得た功績です。
それ以下の功績については、どうも後からまとめて彼の功績と言う事で伝説の中に組み込まれたようです。(自分調べ)

特に最後のにごりを云々の件(くだり)はもう少し後になって活躍したシャンパンの2大未亡人の功績といわれる文献もあります。

 

 

瓶とコルクに関しては、信憑性がないと指摘されていますが
(英国では既にガラス産業が発達してガラス壜が普及していたことと、
ポルトガルと交易していた関係からワインの栓にコルクが使われていたことが、分かっています。
発泡ワイン出現を可能にしたのは実は英国の前振りがあり、その後フランスで完全になったと言えるようですが、現在の情報網を考慮するとどちらが元祖でどちらが本家、みたいな話になりそうです。)

ペリニョン師の功績が偉大なだけに、後から付け加えられて偉大な伝説になるというのは世の常で、これは古今東西、何がしの功績者や偉人にはつきものです。

例えば発泡性のワインが最初に認められたのはフランスではなくドン・ペリニョンが 酒庫係になる前の英国のロンドンだったと言われています。
(ガラス瓶とコルクの関係もこれでつながります。)
ペリニョン神父が現れる前のシャンパーニュでは、ワインと言えばシャルドネとピノ・ノワールから造られる非発泡性のワインが主流でした。

                                

 

シャンパーニュはフランス北限のワイン産地なので、秋に仕込んだワインが冬の寒さでいったん発酵が停止(終了ではなく冬眠)してしまい、また春になり気温が上がると再び発酵し始めます。
発酵が休止した段階のワインを瓶詰めしてしまうと、再度、瓶内で2次発酵が起こり、そのときに発生する炭酸ガスによって、発泡性を帯びたワインになります。
(ワインの酵母は葡萄の糖分を食べてアルコールと炭酸ガスを排出し、これがワイン醸造の基本のプロセスとなるわけです。)

また泡の気圧によって、蓋が飛び、中身が飛び散ってしまうことが、しばしばありました。
これがコルクの発展に繋がります。
すでにこのプロセスを知っていたイギリスがワインに行っていた処置をフランスが後に取り入れたとしても不思議はありません。


ペリニョン師はコルクを発案したのではなく、復活させたと言う見解がフランスでは強いのです。

なぜならそれより遥か以前に、シチリア島沖でアンフォラという専用の壷の蓋としてコルク栓は発見されています。
古代ローマ時代には既に使用されていましたが、中世には使われなくなっていて、18世紀に入ってシャンパンの登場と共に復活をしたと見られています。

そしてペリニョン師はこのコルクがシャンパンの気圧で飛ばされて噴き上げないように、縄でコルクを固定させるのです。
これこそが師の功績なのです。

  最近この古典的手法を復刻版にしたJBのコルク(フランス限定版)

 

 

間違いなくドン・ペリニョンが残した、現在にも受け継がれているシャンパン造りの功績であるもの、
それは彼が黒葡萄から白ワインを作り、それぞれ異なった畑のワインを異なったビンテージ同士最高の組み合わせを厳選してブレンドする技術です。

いわゆるブレンディングでシャンパンの品質と味を優れたものにした事。
そういった意味で“シャンパンの味わいと泡を瓶に閉じこめた偉人”として、ドン・ペリニョンが敬われるのはワインの世界では自然の成り行きだと言えましょう。
(ただし、その後修道院を買い上げたシャンパンメゾンがその名をワインに命名したことで、この奇跡の僧侶の足跡はすこし見解が違う解釈で広告に使われるようになってしまいましたが)

ちなみにドン・ペリニョンは盲目であったが故にすこぶる鼻と舌の利く僧侶だったと言われていますが
目が見えなくなったのは晩年の事です。

 

このスタイルが世界のスパークリング・ワインの王様、シャンパーニュ地方の発泡酒=「シャンパン」として君臨しているのです。
(シャンパーニュ(シャンパン)はこの地域で生産されたものだけをシャンパンと呼べるのです。
それ以外の地域の発泡酒がシャンパンと名乗るのはフランスのワイン法とEUのワイン法で規定されており、完璧な違法です)
もしも歴史上、最初にスペインの修道士とかドイツの修道士がこの技をひねり、普及させていたら、世界の泡の歴史はまた大きく違っていたでしょう。



朝シャンではなくて、朝セクトとか
最高級発泡酒の代名詞はカヴァのドン・タコス・・・とか。

・・・・・。

 

ところでどうして聖職者や教会がワインを造っていたのでしょう?

ローマの支配下にあった時代から、聖職者は葡萄栽培(ワイン造り)を遺産として受け継ぎそれによって教会の権力と繁栄を維持してきたのです。
そして聖職者の葡萄栽培はフランス革命と共に終わりを迎え現在のフランスワイン生産の形に移行しています。

 

また、史実とはほぼ関係ない伝説の話になりますが
ドン・ペリニョンは発泡するワインを味見してブレンドする時に

「まるで空に広がる星達を味わうような心地。


と言ったそうです。(が、史実的な根拠はありませんので多分事実とはいえません。)

 

        

けれど今となっては実際に師の言葉として語りぐさになっている感のある、
星を舐めるような味わい・・・と言う言葉は、特定のシャンパンを指し示す物ではなく
泡の出るワイン、つまりシャンパン全てに当てはまる美しい表現であると私は思います。

 

 

これ以外の発泡酒で
夜空に輝く美しい星の味わいを髣髴させる弾けるようにウキウキするお酒があるでしょうか。

 

 

 


nice!(32)  コメント(19) 
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コメント 19

めぎ

日本でも御神酒は神社でつくっていたそうですよね。今でも造る神社があるとか。
ワインもミサで使うし、宗教的な意味もあるんでしょうね。
発砲している写真がたまらなく美味しそうです。
by めぎ (2007-07-21 06:40) 

いっぷく

ドン・ペリニョンというのが修道士であったことも知らなかったほどですから、
こんなに数々の功績をのこしているなんてまさにダ・ヴィンチと言われても
納得ですね。
by いっぷく (2007-07-21 06:44) 

どらっち

すてきな写真で、うっとりです。もちろん(^^)すてきなお話にもびっくり。
やはり、ヨーロッパだけに、いろんな国が流れてきて、判らなくなってる部分もあるのでしょうね。
それはそれで、おもしろいように感じますけど、他の国はいろいろ複雑なのかしら?
by どらっち (2007-07-21 08:26) 

noriko

あぁ・・・やっぱりjulliezさんの泡は美麗♡
夜空の星を舐めるような・・・という形容に激しく同意いたします!!
by noriko (2007-07-21 10:07) 

ドン・ペリニョンと言う人物がいたということしか知りませんでした(^^;
こうして読ませていただいて、
綺麗な泡の写真を見ていると、、、無性に飲みたくなってしまいす。。。
ビールの泡も好きですが、シャンパンの泡もいいですね~ヽ(´▽`)/
by (2007-07-21 10:48) 

ドン・ペリニョンって修道士さんの名前でしたか~。
そんなことも知らないわたしをお許しください。
凄い人だったのですね。
死ぬまでに一度でいいから飲んでみたいものです。
by (2007-07-21 11:07) 

nicolas

あわわ!
針金以前は「縄」でグルグル巻きだったとは!(▼ω▼)ノ
by nicolas (2007-07-21 14:02) 

aia

意識したことがありませんでしたが、たしかにシャンパンのコルクは針金の留め金がついてますね。あれは師の発明の進化系だったのですね。
ワインが一度冬眠してから発酵してシャンパンになることも、気圧によってフタがふっとんでしまうことも知りませんでしたが、だとしたら師の功績はやっぱり大きいですね。
by aia (2007-07-21 14:34) 

crow

跳ねる泡の写真が、夜空の星☆みたいでキレイですね
ところで、ドンペリおじさんの右手は何をしようとしているのでしょうか?
by crow (2007-07-21 15:13) 

yoocomint

ブログ突然辞めることにしました
いろいろありがとうございました
最近、鬱がヒドクもう続けられないようです
ホントありがとうございました
また良くなったらお邪魔します
by yoocomint (2007-07-21 23:36) 

Inatimy

数年前、「機内で、スッチーは、ドンペリで手を洗う」とかいう文章をどこかで読んで、
無知な私は、なんのことだか、さっぱり分からず、除菌ができる石鹸?などど、
思ったのを思いだしました・・・。
今度は、いつか、このjulliez さんの文章を思い出しながら、ドンペリを飲んでみたいです。
飲める日が、来るといいんですけど・・・。 お小遣い、ためます。
by Inatimy (2007-07-22 06:01) 

ドン・ペリニョンさんが修道士だったとは知りませんでした
ワインはとても神聖なものだったのですね
ワイン界のレオナルド・ダ・ヴィンチ
とてもわかりやすくて面白いお話しでした☆
by (2007-07-22 10:53) 

miumiu

泡の画像がホントに素敵ですね。
ウットリしちゃいます。
by miumiu (2007-07-22 12:32) 

miffy

帰ってきました^^
留守中のご訪問ありがとうございます
ドン・ペリニヨンの功績ってすごいのですね。
修道士だという事とコルクの事は知っていましたが、とってもお勉強になりました。
時差ボケの中しっかり読みました^^;
前の記事も拝見して帰りますね。
by miffy (2007-07-22 14:08) 

wakatate

ドン・ペリニョンは修道士なんですね、瓶とコルクの話
勉強になりました、
銀座のバーではこの、「ドンペリ」と呼ばれるワイン?
最高の価格で売られています。
一生に一度でいいから味わって見たいものですね。
by wakatate (2007-07-22 17:36) 

教えてくださってありがとうございます。
泡がとっても美しいですね☆
by (2007-07-22 21:45) 

julliez

みなさま、コメント、ご訪問、ナイス! ありがとうございました。
お返事まとめてしまってごめんなさい。
いつも温かいお言葉を頂いてとても感謝しております。
これから皆様のところでご挨拶させていただきますね。
by julliez (2007-07-23 05:15) 

ミカチ

とても勉強になりました!発泡の原理も分かりました。(不思議に思ってたんです)
ドンペリニョンが修道士、実在の人物の名前だったというのも知らなかったです。
by ミカチ (2007-07-23 21:25) 

増子敬公

ワイン醸造コンサルタントです。
Dom Pérignon のワイン醸造への功績を調査中です。
想像以上に見つからないです。苦労してます。
by 増子敬公 (2011-03-10 20:37) 

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