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最終更新日:12/10/2011
les Grande dames [champagne-ardenne 地方]
シャンパンの物語は、メゾンの数だけあります。
最近、再認識して飲む機会があった、お祖母さまに捧げられた特別キュヴェ。
偶然ながら興味深かったのでそんなお話から。
エペルネのJBこと
JANISSON-BARADON のシリル・ジャニソンがリリースした
V Vendeville (ヴィオレ・ヴァンドヴィーユ)
と、
エペルネのBJ こと
BAUGET-JOUETTE のニコラとステファン・ボジェが創業から引継ぎ守り続ける
Cuvée JOUETTE (キュヴェ・ジョエット)
実は、この2軒、お隣同士なんです・・・。
片や、RMで日本でも追い風ブームに乗って注目されるスーパー新世代。
もう一方は、完全家族体制のまま進化した鉄壁の伝統的スタイルのNM。
ネゴシアンとはいえ、100%自社畑で自社シャンパンを生産するのは非常に珍しく、また、大量生産を行わないシャンパン造りは近代的な大手NMと一線を画します。
そんな謳い文句はいいとして、
彼らの造るお祖母さまに捧げた思い入れの詰まったシャンパンは格別でした。
シャンパン・メゾンのマダムは女傑が多いようで (そして何故か未亡人)
大手で言えば
ポメリーのマダム・ポメリーや、ヴーヴ・クリコのマダム・クリコに代表されるように、ひとつの歴史を築き上げる強者が少なくないのです。
マダム・クリコ
ご存知の方も多いと思いますが
このマダム達は、シャンパーニュの発展に大きく貢献したと言われます。
念のため少し触れておきましょう。(知ってるわい!と仰る方はそのまま飛ばしてください。)
クリコ婦人はシャンパンが二次発酵する際の副産物である澱(酵母の屍骸)の問題を解決した女性と言われます。
(別の説では彼女の下で働いていた青年の貢献だとも言われますが)
シャンパンが瓶の中で二次発酵することであの泡が得られるのですが、
その時にできる澱は18世紀頃ではまだそのままの状態で出荷されていました。
澱はそのまま注がれると、当然グラスの中身も濁ります。
濁るだけではなく、抜栓して澱が舞うとそこから別の泡が立ち、瓶から吹き上げる事もしばしば起こり、ちょっと困った当時の人たちは、グラスの底にくぼみをつけて澱を落として溜める工夫をした位です。
シャンパンの決め細やかな泡を造るためには、この酵母を逃さずに取り除く事が先決であるという考えの下、
瓶を逆さまにし、少しづつ回してゆっくりと澱を下げ(ルミアージュ=動瓶)、瓶の口元に澱を集め、
抜栓して澱を取り除く(デゴルジュマン=澱抜き)ことで、失うガスを最小限に抑える技を考え出し実行し始めたのが、このマダムの時代からなのです。
きっとそれまでは凄い澱付きシャンパンを飲んでいたのでしょうね・・。
(澱の入ったままの生シャンパンをそのまま昔風に抜栓して飲んだことがありますが、
それはそれは凄い事になります。
色は濁り、泡は落ち着き無く荒れ狂いあげくに弾けなくなり、酵母の香りばかりハナにつきます。
最近流行ったロワールの自然派のぺテイアンを更に酷くした感じです。)
で、もう一人の女傑
マダム・ポメリー
この方は、辛口=ブリュットの産みの親なのです。
甘口主流の食後酒だったシャンパンを、イギリス人好みの辛口仕立てにし、食前、食中を通してワインのように合わせられる辛口シャンパンのスタイルを考えた女性です。
この二つのスタイルなくして、あくまでも味わいは別として、現在のシャンパンは語れないとも言われています・・・。
(これだけで、それぞれ賛否両論な一つの映画が出来そうです。)
私が合宿している地域でも、またエペルネ界隈の友人達の多くも、殆どが女系の生産者ルーツを辿っていたりして驚きます。
そして、女系の彼女達は物凄~く長生きで非常にパワフルです。
最近の若手の生産者の中では、特に祖母に捧げるトリュビュート的なキュヴェをリリースしたり、再度見直しを図る傾向が(やや)感じられます。
JBでは元々、お爺さまの名前をキュヴェにしたシャンパンが以前からあるのですが 、今の当主のシリルの代でお祖母さまのキュヴェをリリースしました。
そのラベルは日本でも多くの女性のハートを掴んでいるようですし、味わいもシャープで日本刀のようなキレのある彼のスタイルと少し違って、とても優しさを感じる癒し系のシャンパンだと思います。
男の功績だけではない、縁の下の力持ちの存在を忘れていないよ・・・という思いやりが伝わってきそうです。
(いや、本当はやっぱり女傑だったのでは・・・と密かに思っていますが。)
かつてフランスに行く前に、彼のシャンパンと偶然出会い、とても印象に残る造り手だったので、何としても会ってみたかった一人がこのにいさんでした。
現地でこのシャンパンをプレゼントして頂いた時は、とても浮かれて調子に乗ってガブガブ飲んだのを覚えています。
(注:こういうときは味わいましょう)
そんな繋がりのある色々な人に恵まれている自分は本当に幸せだと感謝しています。
そして、その後、エペルネの時々仕事先がこのメゾンの徒歩圏内・・・・。
人生は不思議が一杯です。
次回はお隣のBJの未亡(偉)人の伝説をじっくりとお届けします。
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なるほど、このマダム達に感謝を感じながら、なお一層おいしくシャンパンをいただけそうです。
by (2006-10-29 07:02)
マダム・クリコの存在感たっぷりの肖像はよくお見かけいたします。
女傑は彼女だけではなく、シャンパーニュはおばサマたちの功績ぬきには語れなかったのですね~。
これからは、ますます美味しく感じそうです。
by noriko (2006-10-29 12:20)
Ikesan sama
フランスの女性は強い!です。
母はもっと強い!です。
by julliez (2006-10-29 19:24)
てんとうむしさま
フランスワインは女性の存在無くして、文化の進化はあり得ないようです。
両未亡人はよくみると喪服ですね~。
by julliez (2006-10-29 19:27)
私がcdm門下になって日が浅い頃、普通飲むのはポメリーかクリコとコメントしたら、センセから「両方とも未亡人ですな」とのコメントがあり、何か深い
意味が??、、未亡人に近い私の境遇を察してのコメントかと勘ぐったりして、、今、思うとお笑いとツッコミが好きなセンセのかる~い一言だったんですよね。
でもね、未亡人がバリバリ仕事に燃えるの、わかりますよ。情熱を注ぐものは
仕事だけになったんですもの。結果がすぐ見えるやりがいのある仕事なわけだし。
前置きが長くなったけど、このハートのラベルの「ヴァンドヴィル」、シェリー
さんが敬老の日におばあちゃまといっしょに飲んだぶん。julliezさんが、
シリルくんとお知り合いとコメントなさっていたので「ほぅ!」と思い、よく
覚えています。以来、ヴァンドヴィルを探しているのですが、見かけないん
ですよ。
伝説の人たちの子孫の方々といっしょに仕事ができてjulliezさん、すごいな。
by TaekoLovesParis (2006-10-29 20:16)
とても勉強になります。
オーストリアには美味いスパークリングはあまりないようで、いつもダルマチア産の安くて美味いプロセッコを愛飲しています。
これからも、いろいろと教えて下さいね。
by (2006-10-29 22:25)
知らない事ばかりで、的を得たなコメントも残せませんが、記事はしっかり読ませていただきました。
by いっぷく (2006-10-29 22:25)
taeko sama
深読みでしたね~。^^
未亡人はバリバリ仕事を・・のくだりにはまたまたやられてしまいました。
私は日本女性はこれまた類を見ない働き者だと思っております。ハイ。
シリル君のハートマークのシャンパンは生産量が少ないのでしょうね。
彼のブリュットは何故だかノンドゼより辛口というかシャープに感じるんですよ。お値段は本当にお得な価格ですから一度お試しされては如何でしょうか。シャンパンをこよなく愛している情熱のある造り手さんですよ。
by julliez (2006-10-30 01:39)
Minovsky sama
恐縮です。
オーストリアのワイン(白)で非常に美しいものを飲んだ記憶があるのですが名前を失念してしまいました。(もーっ)
この時期、名前が挙がるのはホイリゲ・・って今では居酒屋の意味になってしまったのでしょうか。
こちらこそ宜しくおねがいします。
by julliez (2006-10-30 01:49)
いっぷくさま
お忙しいところ、訪問してくださってありがとうございます。
これに懲りず、また、遊びにいらして下さいね。
by julliez (2006-10-30 01:51)
こんばんわ~もうとっても興味深いお話満載で☆読みふけってしまいます!
「ヴァンドヴィル」は私にとっても祖母との特別な思い出シャンパーニュです。
julliezさんからこういう素敵なお話を伺えたことも思い出のひとつです。
祖母はすっかりシャンパンを気に入ってくれたようなので、次回の機会には是非「キュヴェ・ジョエット」を探してみたいと想います。
by シェリー (2006-10-31 00:15)