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[ひらめき]最終更新日:12/10/2011

Renoir を巡る~エッソワ(アトリエ)編~ [Renoir ルノワールと]

「芸術が愛らしいものであってなぜいけないんだ?
  世の中は不愉快なことだらけじゃないか。

     せめて、私の絵の中にはそんなものを持ち込みたくはない。
    私は人々が幸福を感じるような、そんな絵を描き続けたいんだ。」
                                         RENOIR

 

 ようこそ、アトリエ・ルノワールへ

ここは今はルノワールを偲ぶ小さなアトリエ美術館です。

                   

 

 

 

           

 

 

  

                                    

 

ルノワールの絵を見て感じる事

そこには
愛らしい子供の笑顔であったり
日常に、窓から眺めているような、
それでいてとってもきれいな景色が切り取られて
目の前に繰り広がる感じがします。

 

 



私はオーブでの散歩がいつの間にか大好きになっていました。
だって、時間が流れていても
こんな風に止まっているからです。

風景の中にいると
絵の中に入り込んだような気分になります。

 

しかし巨匠の場合は
景色よりも、人間です。

日常のちょっとした仕草や表情を捕らえる事にかけては
本当にすばらしい。

 

 

 

 

観る者が
思わず微笑んでしまうような
愛おしい表情の表現が、彼ほど巧みな画家は他にはそういるとは思えません。


彼のモデルたちは
誰もが、生き生きとした表情で
描写するルノワールに向ける瞳は

「ねぇ、上手に描いてね。」

そういう風に瞳が向けられている表情ばかりに感じます。

 

       

 

同じ印象派で親友のモネと比較され、中には結構批判的な言葉も耳にします。
風景の描写の美しさはモネの方が圧倒的に軍配が上がるようですが
人々の日常と表情を描かせたら
ルノワールに軍配が上がるのではないでしょうか。
(芸術は別に勝ち負けじゃないと思いますが・・・・。)

陶器のように透けるような白くて輝く肌。
画家に絶大な信頼と親しみを持って見つめるモデル達。

どの絵にも、リラックスして楽しげに見える彼女達。
(そこに駆け引きや緊張感はありませんものね)

 

 

「観る者が楽しくなるような絵」


を目指し続けたルノワールですが

彼自身は大変な時期が何度もありました。

 

 
Parapluies (傘)
(モデルは婚約当時のアリーヌ)

例えばこの絵を描いている頃
実際は、自身の画風に疑問を持ち、迷い、

「 形が、光の中に溶け込んでしまう・・・ 」

「 どうやって色を塗り、どうやって線を描いたらいいのか、もはや判らなくなった 」

「 (私の)印象主義は、すっかり干からびた・・・・。 」

とさえ言っています。

売れっ子肖像画家で安定した生活を得られたけれど
彼の本来描きたかった絵は、もはや印象派では表現できなくなっていたようで、激しいスランプに陥っています。
そしてアリーヌと旅したイタリアでラファエルの壁画やフレスコ画技法など古典主義の絵画と出逢い、やがて新古典主義のアングルの絵画に巡りつき、彼は間もなく印象派の技法を捨てます。

しかし彼の新しい絵画は、それまでの顧客に不評で、どんどん彼等は去っていきます。
結婚し、家庭を持ったばかりのルノワールの心境はどんなものだったでしょう。

 


ココ(クロード3男)                      ピエール(長男です)

このアリーヌと息子を描いた時期も、彼は決断を迫られ
心境的には決して明るく楽しいとはいえなかったのです。

 

それでも観る者に、優しい気持ちを起こさせる彼の絵は
微塵の苦悩も感じさせませんね。


だから、人はルノワールの愛らしいだけではない彼の絵の魅力に惹かれるのでしょうか。

彼はその後かたい絵と呼ばれた時代を経て

人々の日常と表情や、ふくよかな女性の裸体を好んで描くようになります。


    

                             アリーヌの姪で家政婦兼モデルをしたガブリエル嬢

                                     


彼の一番描きたかったものが、それだったからです。

 

 ガブリエルとココとジャン

 

そして晩年

彼はオーブで自転車遊びをしている時に転んで腕を骨折します。

それが原因で死ぬまで後遺症のリウマチに苦しみます。
関節は曲がり、車椅子での生活
布団の重さでさえ悲鳴を上げるほど辛かったようです。

 


戦争で傷付いて帰ってきた息子の看病疲れで、アリーヌは56歳の若さでルノワールを残してこの世を去ります。

 

         

                         

今にも笑い声が聞こえてきそうな楽しい絵ですね。

ルノワールは生涯に於いて、自身がどのよう状況でも
観る者が楽しくなるような絵を描き続けました。

彼こそ
職人だと思います。

 

アリーヌの没後、4年後にルノワールもまたこの世を去ります。

今、妻の故郷のエッソワ村で彼は眠っています。
アリーヌとモチロン一緒です。



実はこの後ろがアリーヌの墓で、同じように銅像があったのですが
今は彼女の銅像だけありません。
(盗まれてしまったんだそうです。)


 

 

もう少しアトリエの中をご案内したかったのですが
冬は閉館中で、
手元にある写真も、ご紹介できる面白いショットがなくて
アトリエらしさのある写真は、春以降までお待ち下さい。
(そのほうが緑も多くて綺麗ですしね。)

 

 お人形さんのようなココ。

                         ガブリエルとジャン 

 

左からピエール、アリーヌ、ココ、ガブリエル、ジャン
(ジャンとココが女の子の格好をしているのは昔の魔よけ的な慣習。)
まるで家族の記念撮影そのものですね。
(エッソワのアトリエにて撮影)

 

 

 

拙い説明で力不足ですが、
幸いこのブログを訪問してくださる方々の中には
非常に詳しい方(プロの方も含めて)がいらっしゃるので

詰めの甘い部分はフォローして頂けましたら幸いです。

 

 

と云うわけで、
長くなりましたが、オーブと巨匠のシリーズにお付き合いいただいて
ありがとうございました。

 

 

 

 

 


タグ:aube renoir
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yk2

オーブの風景の写真は、こうしてルノワールと並べると絵に紛れてしまうようですね。彼の地をよく知るjulliezさんならではの視点で沢山のルノワール作品を見せて頂いて、たいへん楽しめました。エピソードも軸がアリーヌとオーブとの関係に沿って展開されているので興味深く、とっても面白かったですよ。
by yk2 (2007-02-14 02:55) 

絵画にはとんと疎いですが、こうして作品を拝見する限り、彼の絵は初めの言葉が全てを物語っていますね。
わたしも、幸福を感じるようなブログにしたいです。 なんちゃって^^
by (2007-02-14 07:26) 

シェリー

こんにちは。私いままで、正直・・・美術で習った有名な画家のルノワールさん。というくらいしか知りませんでした。
でもjulliezさんの巨匠シリーズを読んでいてルノワールさんという方の人生の
エピソードとそれにまつわる絵を拝見していくうちに、すっかり惹きこまれて
最後はなんだか切ない気持ちと温かい気持ちになりました。
『観る者が楽しくなるような絵』機会があったら何処かでゆっくり拝見したいと思います~
by シェリー (2007-02-14 12:47) 

miumiu

パチパチパチ~!!!
とても楽しく読ませて頂きました。

ルノワールやモネの絵を見ると亡くなった母を思い出します。
by miumiu (2007-02-14 14:02) 

nicolas

え~ホントですか・・・ルノワール自身のことは余り知りませんでした。
そういう、苦労や大変さは微塵も絵からは感じられませんね。
確固たるご自身の世界を貫き通したんでしょうか。
それにしても、彼の描く女性の丸みとバラ色の頬が本当に素敵です♡
by nicolas (2007-02-14 18:18) 

toraneko-tora

ちょっと、ルノワール通になったような・・・・錯覚に
by toraneko-tora (2007-02-14 19:19) 

TaekoLovesParis

たくさんの絵を見せていただいて、ルノワールの生涯が身近になりました。
陽の光がたくさんはいる明るいアトリエ、ここから名作が生まれたのですね。
壁に家族の絵がかけてあるから、ルノーアル宅を訪問している感じがします。
オーブに住んでいらっしゃるjulliezさんならではの考察の3連作、オーブの
景色、ぶどう畑、ヴィローニュをルノワール同様に愛しんで生活なさっている
からこその素晴らしいエッセイでした。(拍手)
by TaekoLovesParis (2007-02-14 21:58) 

noriko

>芸術が愛らしいものであってなぜいけないんだ?
  世の中は不愉快なことだらけじゃないか。

↑本当にそう!!
ルノワールの絵を見ていると、思わず微笑んで、胸のまんなかがほっこりあたたかくなります。
どんな状況でもキャンバスの上にそんな世界を表現するには強靭な精神力が背景にあったんですね。
オーブの風景を拝見して、オーブの素晴らしいワインを味わって、改めてルノワールの絵に出会うと、その魅力がいっそう深いものに感じられるようになりました。
nice!一つだけじゃなく、もっとたくさん押したい(笑)
by noriko (2007-02-14 22:48) 

norikopianist

とても素敵な記事でした。芸術についてまた考えさせられました。私のブログは当分更新を中止することになってしまいましたが、julliezさんのブログこれからも楽しみにしています!また遊びに来ますね。
by norikopianist (2007-02-15 06:37) 

ミカチ

素敵な場所を紹介してくださってありがとうございます!!
画家にまつわる土地にはとても興味があるので行ってみたいです。
それに、オーブはとっても素敵な風景ですね。
南仏ニースの近くのオードカーニュにあるルノワールの家には行ったことがあります。
ルノワールのアトリエもそのまま使えそうな状態で展示されていました。
ここもニースの海が見渡せてとっても素敵なところでした。
by ミカチ (2007-02-16 03:07) 

ルノワールの絵とオーブの写真を並べて見ると、面白いですね。
彼の絵は、いつも幸福に溢れています。
肌の色、頬の色は、勿論、キラキラと輝く瞳が、とても惹きつけられます。
オーブでヴァカンスする時は、葡萄見学とルノワール研究で・・・
長期間過ごしたいものですね^^。
by (2007-02-16 23:27) 

plot

印象主義以降のルノワールにも暖かい目が注がれていて嬉しいです。
セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンらは、ポスト印象派(日本では後期印象派と訳される事が多いですが)と呼ばれます。印象派としてスタートしながら印象主義を否定して自身のスタイルを確立した画家達です。それぞれ20世紀のキュビスム、表現主義、フォーヴィスムの生みの親と言うべき存在ですから美術史の中で特別の位置を占めています。同様にモネも20世紀後半の抽象表現主義の画家たちからオマージュを捧げられています。
ルノワールがそういう文脈の上で語られる事は少ないのですが、前々回のコメントで触れたように、晩年のルノワールの様式はピカソの新古典主義に決定的な影響を与えています。ピカソ自身がそのことをおおやけにしていればルノワールの評価も大きく代わっていたかも知れません。
by plot (2007-02-17 05:53) 

yoocomint

お久しぶりです
私は人々が幸福を感じるような、そんな絵を描き続けたいんだ
というようにホントに幸福を感じる絵ですね~
最近、絵を買ってしまいました~(やすい絵ですが、私気に入ってしまって)
by yoocomint (2007-02-17 21:44) 

オーブのような環境があってこそ、ルノワールのような絵が生まれるのですね。
日本も、田舎の風景をもっともっと大事にしないといけないのかもしれませんね。
by (2007-02-19 06:11) 

めぎ

アトリエに興味津々です。素敵な雰囲気が垣間見れました。
景色も素敵・・・こういう環境でこういう絵が生まれたのね、と感じました。
ドイツのC.D.フリードリヒとは大違いですね~ドイツってやっぱり寒くて冷たくて苦しいところなのかな・・・
by めぎ (2007-02-21 18:37) 

私が感じるままのルノワールの言でした。個人的にはちょっと太っちょには抵抗がありますが、やさしい温かいタッチは完全に伝わってきます。
「幸福を感じるような絵を描きたい」。至言ですね。
ルノアールの皺くちゃ髭もじゃの写真も興味がわきます。哲人のいい顔をしています。
by (2007-03-26 03:27) 

bonheur

ルノアールの絵って、あたたかくてほっこりしますよね。
「私は人々が幸福を感じるような、そんな絵を描き続けたいんだ。」
素敵な絵の数々を残してくれた巨匠に感謝です。

オーブって、本当にいいところですね。ぜひ行ってみたいです。
私は田舎出身者なので、高い建物のない、ひろーい畑をみると、ほっとします(^^)
by bonheur (2008-07-12 05:59) 

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